ニライカナイ 〜川井豊子の詩の記憶の森

ニライカナイ 〜川井豊子の詩の記憶の森
岸と橋と 夢と

宇宙の前に青く開かれている

この空のように

わたしは一つの〔岸〕であり

水平線の一端にすぎない

時間が打ち寄せるための

そしてまた波の飛沫のように

言葉や思いが

きらめいてはかき消えるための

 

わたしは〔橋〕にすぎない

子どもを身ごもり

いのちからいのちを 受け渡すための

人の海に漂う わたしは〔水の泡〕にすぎない

けれどこの宇宙とて

数知れぬ宇宙の泡の

その一つにしかすぎないともいう

わたしは〔生き物〕にすぎない

46億年前に生まれたというこの星に

花や鳥や虫たちとともに

つかのま 生きているだけの

 

そしてわたしは〔夢〕にすぎない

誰かに夢見られてわたしはあるのか

それともわたしたちが夢見るから

時はうつろとならず そこにあるのか

その先に

何が見えるだろう

折り重なる 〔夢〕の襞の向こうに

 

 

 

| 既刊詩集『朔太郎の耳』 | 20:19 | - | -