ニライカナイ 〜川井豊子の詩の記憶の森

ニライカナイ 〜川井豊子の詩の記憶の森
夜がやってくる

夜が

やってくる

わたしはパジャマの微かな重みを

するりと脱ぎ捨てる

わたしは白や薄桃色の下着を 脱ぎ捨てる

わたしは 与えられた名前を脱ぎ捨てる

わたしは母親を脱ぎ捨て 女も脱ぎ捨てる

わたしは生まれた日を脱ぎ捨て

思い出を脱ぎ捨て めぐる朝を脱ぎ捨てる

わたしはわたし

であることを脱ぎ捨てる

そんなふうに

かたわらに眠る いとしい誰かにも

夜が

やってくる

| 既刊詩集『朔太郎の耳』 | 20:05 | - | -