ニライカナイ 〜川井豊子の詩の記憶の森

ニライカナイ 〜川井豊子の詩の記憶の森
夢の中では

夢の中では

ずっと先まで飛ぶことができる

ついと 〈今〉を超えて

眼に見えない夢の翼の

そのはばたきはのびやかだ

時や思いの行き交う

風の道を

上へ 下へ 自在なままに

夢の中で飛ぶということは

音のない音を聴こうとすること

見えないものを見ようとすること

海を臨む岸壁の上に

緑深い梢や 町々の屋根の上に

柔らかな羽を休めることは

その眠りの中で ふたたび眠ろうとすること

そしてもはや はばたきすらなく

開かれたままで

空に抱かれて舞うことは

夢の中で

ふたたび夢見始めること なのではないか

 

 

| 既刊詩集『朔太郎の耳』 | 11:25 | - | -