ニライカナイ 〜川井豊子の詩の記憶の森

ニライカナイ 〜川井豊子の詩の記憶の森
夜の眼差し

限りない星々のちりばめられた

この宇宙の闇に浮かぶ

地球という星は

今 様々な衛星を周りに漂わせ

電波などの電磁波の

見えない線に囲まれているのだという

この闇のどこか

ひしめきあうそれら網状の波のふるえ

そして この球体の半身〔夜〕のなかでは

太古からの宇宙の息吹もまた

静かにめぐっているのだろう

そこで目覚めているわたしの

瞳は 夜の水晶体

体は夜の網膜であり

無窮の闇を前に

開かれてゆく 意識は

張りつめて伸びてゆく

幾つもの神経の束

夜の眼差しそのものとなった

わたしは見つめる

巨大な繭(まゆ)のように

幾重もの線のゆらぎに抱かれて

宇宙に浮かんだこの星の

目覚めのような眠り

〔夜〕を その内側から

 

 

 

 

 

 

| 既刊詩集『朔太郎の耳』 | 14:28 | - | trackbacks(0)