ニライカナイ 〜川井豊子の詩の記憶の森

ニライカナイ 〜川井豊子の詩の記憶の森
Iris
あなたへの思い
それはわたしの 心のアイリス
むらさきに仄かに燃える
眼差しの花冠
夜を前に そして夜の後ろで
束の間結ばれてゆく
ふるえるむらさきの帯の腕
めくるめく水球をおしつつむ
空の透明な膜のなかで
あなたへの想いは
アイリスとともに目覚め
アイリスとともに眠る
告げられず
遂げられることのない
めぐりやなまい 風
空の端に
雲という雲を吹き寄せて
晴れ渡った眼差しの向こうに
花開いてゆくもの
心の アイリス
その奥で
薄闇が濃さや明るさを増してゆく
刻々と
時の気配だけが息づいている
うつろう色のなかで
灰となり また焔となって
燃えつづけている

 

| 既刊詩集『眠る理由』 | 16:29 | - | trackbacks(0)